段ダンボールで燻製をする方法をご紹介。必要な道具や自作方法、作り方から、注意点、燻製の魅力まで必要な情報をご案内します。
キャンプで燻製を作るとお酒の肴が充実します。敷居の高そうな燻製ですが、覚えてしまえば簡単です。そして、段ボール燻製なら道具にお金がかかりません。
我が家がキャンプに行くと必ず段ボールで燻製をします。十数回燻製にチャレンジした経験を元に実例を交えてご紹介します。
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キャンプで燻製をおすすめする理由
まずは、燻製をおすすめする理由をご紹介します。
美味しい肴が食べられる
スーパーやコンビニで燻製食品はお手軽に手に入りますが、自分で作ってみると風味がまったく違います。好みもあるかと思いますが、風味が強いものを味わうことができますし、食材の大きさを好みで調整できます。
販売されているスモークサーモンや、スモークチーズは表面を燻製して薄くスライスしているものが多いですが、自分で燻製すれば切り分けた食材の全面に風味をつけることができます。同じ「燻製」ですが、自分で作ったものと販売されているものは別物です。
焚火を囲んで晩酌しながら、自分で作った燻製を楽しむのは至福の時間です。
凝った食材に手を出さなければ失敗しない
下処理に手間の掛からない食材でなければ、燻製で失敗することは少ないです。
失敗しない食材としては、チーズ、ナッツなど水分を多く含まないものです。手軽で美味しく仕上がるのでおすすめです。
ちくわ、はんぺんなどの練り物、スライスベーコン、ウインナーなども、燻製直前に水気を取れば失敗しにくい食材です。
燻製の基礎知識
燻製の最低限の基礎をまとめてみます。
燻製をする季節は「夏以外」
燻製に向いている季節は、夏以外の涼しい時期です。夏を避ける理由は、食材が痛みやすいことと、燻製器の温度が高くなってしまうため難しいです。
燻製食材の下準備では屋外で数時間風乾する必要があるため、暑い時期は食中毒を起こす可能性があります。また、夏にチーズなどを燻製すると、温度が高いためチーズが溶けたり、燻製食材に火が通ってしまいます。
燻製に慣れてくると、下処理が短時間で済む食材を選んだり、熱燻にして食材が腐らないように工夫できるのですが、初めて燻製にチャレンジする方は無理をしなほうが良いです。
キャンプで燻製をするなら「温燻」がおすすめ
燻製の手法は、燻製を作る時の温度と時間によって分類されます。
- 熱燻 80℃以上 10分程度
- 温燻 60℃~80℃ 数時間 → ダンボールで1時間ほどでできる!
- 冷燻 20℃未満 数日から数週間
段ボール燻製で作れるのは「温燻」です。キャンプで燻製にかけられる時間と、段ボール燻製器で扱える燻製時の温度によるためです。設営が落ち着いたら燻製を作り始めて、晩酌に間に合います。
鍋や専用器具があれば「熱燻」もできます。
「熱燻」は自宅でもチャレンジしやすいですが、「温燻」は時間と場所に気を使うため自宅でできる方は少ないかもしれません。キャンプ場ならではの「温燻」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
段ボール燻製の素晴らしさ
燻製にチャレンジするために、燻製器が必要だと思われがちですが、段ボールがあればお手軽にチャレンジできます。ダンボール燻製の素晴らしさをご紹介します。
お金がかからない
段ボール燻製器の材料は段ボールと割り箸、ガムテープなのでお金がかかりません。手軽に燻製にチャレンジしてみたい方には最適です。
燻製を食べてみて、口に合わない事もあり得ますし、燻製器を買うなら燻製に慣れてきてからで十分だと思います。
燻製時の結露を吸収してくれる
燻製中は、燻製器の中が結露して水滴がつきます。この水滴が大敵で、燻製食材が濡れると酸味が出て失敗します。
段ボール燻製なら、段ボールが水分を吸収してくれます。吸湿性・保温性の揃った段ボールは燻製に適した素晴らしい素材です。
荷物にならない
我が家はセダンでキャンプに出かけるため、荷物の車載に苦労しているのですが、段ボール燻製道具は荷物になりません。段ボールを畳んで車内の天井に積んでおけば場所を取らないため、これは嬉しいポイントです。
片付けが楽
段ボール燻製器は、キャンプ場で燃やしたり、燃えるゴミとして処分できるので荷物にならず片付けも楽です♪ 我が家では焚火の着火剤として使っています。※ダンボールは、煙がたくさん出るのと灰が舞いやすいので周囲には十分配慮して下さい。
金属製の燻製器の場合、燻製の臭いや色が着くため、洗う必要があります。その点、段ボールなら片付け(焼却)が楽です。
プロも認める段ボール品質
「アウトドアデイジャパン 東京 2016」で、「スモークさとう」さんが段ボールで燻製をしていました。年に数回の展示場で、プロが段ボールを使っています。
頻繁に燻製するなら専用の燻製器を使ったほうが良いと思いますが、出先で燻製するなら段ボールが便利で機能的にも十分なのだと思います。
段ボール燻製に必要なもの
段ボール燻製をする時に必要なものの一覧です。
必要なもの
燻製に最低限必要なものはこちら。
燻製食材
お好みの燻製食材♪
簡単で失敗が少ないのが「チーズ」と「ナッツ」。
おすすめの燻製食材は別記事でまとめています。
段ボール燻製器
ダンボール燻製器は市販されているものでも良いですし、自作することもできます。
スモークウッド
お好みのスモークウッド。
食材に合わせて選ぶとよいのですが特にこだわらなくても燻製は楽しめます♪
スモークウッドの種類と比較表は別記事にまとめています
個人的には、オールラウンドで使えて、色づきの良い「なら」がオススメ☆
あると便利なもの
必須ではないけど、あると便利なものや、燻製食材によって必要なもの。
温度計
0℃~100℃まで計測出来るもの。燻製用の温度計が便利
干網
燻製食材を干す時に使います
現地で調達するもの
現地で調達するものは「石」です♪
- 燻製器を動かさないようにするための石などの重し (ペグ打ちしてもOK)
- スモークウッドを地面に直接置かないようにするための平たい石など
市販の段ボール燻製器ならお手軽
ちなみに、市販の段ボール燻製器なら、必要なものが全てそろいます♪
子供と一緒に楽しめる、顔シール付きの家型♪
そんなに高いものではないので、初めて燻製にチャレンジする方は既製品を買ってしまったほうが、手間が省けて、失敗のリスクも減るので良いと思います。
段ボール燻製器の作り方 (自作する方法)
段ボール燻製器は、簡単に作れるので自作しても良いと思います。段ボール燻製器の作り方をご紹介します。ほとんどコストが掛からず荷物にもならない燻製器が出来上がります。
段ボール燻製器の作成に必要な材料と、その作り方をご紹介します。
材料
段ボール燻製器の作成に必要な材料をご紹介します。コストはほとんどかかりません♪
材料 | 詳細 |
---|---|
金網 | 25cm×30cmぐらい 段ボールに入るサイズならOK |
段ボール箱 | 30cm×30cm×30cmが使いやすいです 容量が大き過ぎても燻製中に温度が上がらず、 小さすぎると温度が上がり過ぎます |
割り箸 | 網を止めるために必要 |
ガムテープ | 割り箸を止めるために必要 |
定規、赤ペン、シャープペン | あると便利な道具 |
段ボール燻製器の作り方
段ボール燻製器の作り方をご説明します。まずは、完成形の写真です。
欲張って網を二段にしていますが、網は一段でも構いません。見て分かる方はやりやすいように組み立てていただければと思います。詳細な作り方をご説明します。
最終的に、段ボールの四つ角に割り箸を通したいため、割り箸を通す高さが同じになるようにマジックで印をつけます。上から5cmの所に印をつけます。(二段の場合は10cmの所にも)
印をつけた穴にシャープペンで穴を開けて割り箸を通します。シャープペンで穴を開けたら、割り箸を通す方向にを傾けて穴にクセをつけるのがコツです。ちなみに、マジックでつけた印の高さと同じ所に割り箸を通す必要がありますが、横の位置は割り箸の長さに合わせて穴を開ける場所を調整します。マジック印の横位置にこだわる必要はありません。
網を乗せれば完成です。一段目に網を載せる時には、二段目の割り箸を外して載せます。
割り箸を外れにくくするためにガムテープを付けると良い
段ボールに挿した割り箸は、段ボールを動かすと外れたりします。割り箸を外れにくくするために、割り箸の片端にガムテープを付けておくと良いです。
段ボールのサイズより金網のサイズが大きい場合
段ボールのサイズより金網のサイズが大きい場合は、段ボールの一辺に切れ込みを入れて金網を差し込んでも良いです。反対側は、割り箸をニ隅に通して金網を固定します。
ただし、切った辺から煙が漏れやすくなりますので、燻製時に煙が沢山漏れるようならガムテープを貼って切れ目を塞いであげてください。
段ボール燻製器は畳んで持ち運べる
ダンボール燻製器が出来上がったら、段ボールを畳んで割り箸を貼り付けておけば持ち運ぶときに便利です。
燻製の作り方
燻製の作成方法を順を追ってご説明します。
段ボール燻製器を組み立て、食材をセットして閉じる
段ボール燻製器を組み立てて食材をセットします。後に、スモークウッドに着火して、その上に燻製器を丸っと被せるので、手際よく丸っとするための準備です。
燻製する場所にスモークウッドを置く準備をする
燻製する場所を決め、スモークウッドを置くための場所を作ります。燻製器が飛ばされないように、なるべく風が当たらない所が良いです。
着火したスモークウッドを直接地面に置くと地面に優しくないため、下駄を履かせて地面から浮かせてあげる必要があります。平たい石などの燃えないものを探すと良いです。
参考 冬の寒い時期などは、燻製器の温度が上がりにくいため、地面にアルミホイルを敷くと燻製器内の温度が上がりやすくなります。
参考 スモークウッドの下側に空気が入るようにすると火が消えにくくなります。小石などでスモークウッドの片側を浮かせてあげると良いです。
スモークウッドに着火する
スモークウッドに着火します。スモークウッドの両端から燃えるように火を付けます。燻製器の中は酸欠気味になるため、着火が甘いとスモークウッドが途中で消えやすくなります。
着火には時間がかかります。そのため、ライターで着火するのは至難の業!ガストーチ、バーナー、着火剤、ローソクなどを使うのが得策です。
我家の場合は、キャンドルのローソクを使って着火します。両端の上下にそれぞれ火を付け、その後、火バサミ使ってブンブン振り回して火を定着させます。
段ボール燻製の開始!
スモークウッドに火が付いたら先ほど準備した場所に置いて、上から段ボール燻製器を被せます。そして、段ボールが飛ばないように、石の重しやペグダウンをします。
燻製器は、キッチリ密閉するのではなく、下のかすかな隙間からほんの少し空気が入って、ダンボール燻製器から少し煙が立ち上るぐらいがちょうど良いです。密閉すると酸欠でスモークウッドの火が消えてしまいます。
スモークウッドが燃え尽きるまで1時間半から2時間ほど待ちます。たまに、スモークウッドが消えていないか(煙が上がっているか)見てあげると良いです。
燻製が完成したら風にさらして味を落ち着かせる
完成した燻製は、燻製の強い香りを飛ばすために風にさらして味を落ち着かせます。虫や獣に食べられないように注意しましょう。干網を使うとベスト。また、夏場は食材が腐らないように風にさらすのは短時間にして、クーラーボックスに入れてしまったほうが良いです。
味を落ち着かせる時間は、煙臭さを取り除くための時間なので数時間で良いと思います。我慢できずに食べてしまっても美味しければOK♪ 我が家は晩酌の時間になったら時間に関係なく食べ始めます♪
燻製作りで失敗しないためのコツ
燻製作りで失敗しないためのコツをご紹介します。食材ごとに注意点があったりしますが、ここでは燻製全般に関することを書きます。
燻製食材の水分は乾かしてから燻製する
燻製食材の表面に水分が残ったまま燻製をすると、酸味が出て失敗します。食材の表面を乾燥させてから燻製するようにしましょう。
現地で、食材の水分が飛ぶまで乾してから燻製器に入れるようにします。燻製を成功させるための一番大事なポイントです。
食材から滴る油をスモークウッドに落とさない
肉や魚を燻製にすると食材から油が滴ります。この油がスモークウッドに落ちてしまうとススが出て、食材がスス臭くなります。
そのため、スモークウッドがある燻製器の中央には、油の落ちない食材を配置します。写真ではチーズを真ん中に配置しています。
燻製作りの安全管理
燻製作りをする時に、安全面で気をつけないといけないことがあります。周囲の方に迷惑をかけないための心得をご紹介します。
火事を起こさないように細心の注意を払う
段ボール燻製器は火事を起こしてしまう危険性があります。
風で段ボールがズレて、スモークウッドの火が段ボールに移ったら…
・さらに、枯れ葉や草木に火が移って山火事
・燃えた段ボールが風に飛ばされて山火事
・隣のサイトに飛んでいって幕を燃やす
・幕内に人が居たら?
子供が躓いて段ボールを動かす可能性もあります。安全対策を十分にして、燻製器からは目を離さないようにしましょう。そして、段ボールが動かないように、重しをするか、ペグダウンすると良いです。
煙の向きには気を使おう
燻製の煙が流れてくると独特の香りがします。好きな人は気になりませんが、周囲の方にとって迷惑な匂いです。
隣のサイトに煙が直撃しないように、風向きと設置場所に気を使いましょう。
さいごに
段ボール燻製についてご紹介しました。
自作すれば安く燻製を作ることができますので、是非チャレンジしてみてください。
初めての方や、自作が面倒な方は市販品を使ってみるのもオススメです。
参考 燻製に関する記事
その他、燻製に関する関する記事は「燻製のタグ」を付けてまとめてあります☆